ハラスメント

パワハラ防止指針素案発表

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こんにちは。職サポ特定社会保険労務士の森川友惠です。皆様、先日、発表された厚生労働省が発表したパワハラ防止指針の素案をご覧になったでしょうか?

モノを投げつけることはアウト。誤ってぶつかる…はセーフ?

20年4月から大企業に適用されるパワハラ防止関連法では、職場におけるパワハラを

①優越的な関係を背景とした言動で

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

③労働者の就業環境が害されるもの

と定義し、企業は対策が求められるのですが、前回このページでお話しした通り、セクハラと違ってパワハラは、適正な指導との境界線を引くことがとても難しいんです。だから、政府も6つの行為類型(①暴行・傷害/②精神的な攻撃/③人間関係からの切り離し/④過大な要求/⑤過少な要求/⑥個の侵害)ごとにパワハラに該当する例と該当しない例をその素案の中で示しました。

1つめの暴行・傷害の項目で、

該当する例➡ケガをしかねない物を投げつけること

該当しない例➡誤ってぶつかる、物をぶつけてしまう等によりケガをさせること

これ見て私自身が真っ先に想像してしまったのが小学生の悪ふざけの図。皆様も経験がおありではないでしょうか?「わざとじゃない!たまたま!!本当たまたま!」と言い合いながら互いに笑っているうちは“悪ふざけ”。これが度を過ぎるとたちまち喧嘩。これって、職場でもありうること。今の職場はとにかく、忙しくてスピードも超特急。ストレスフルな職場で子供の悪ふざけが勃発して、それがストレスのはけ口となる。

まさか、きちんとした大人が、そんなこと!と思われる方も多いと思いますが、今、いろんなメディアを賑わしているK市の教員のハラスメント問題。あれって、このパターンと全く同じではないでしょうか?

管理職の退職勧奨で過少な要求はアウト…。管理職以外の退職勧奨はセーフ?

6類型の中で、最も判断が難しいとされているのが、5番目の“過少な要求”なんですが、今回の例では、

該当する例➡ 管理職の労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること

該当しない例➡ 経営上の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせること

該当する例にあえて“管理職”としたことがどうも引っかかるんです。確かに、管理職ですから、それ相当の権限を与えられ、責任を負うのが企業では通常のことでしょう。が、役職に関わらず、自身の能力を発揮できない仕事をやらされ続けることはハラスメントの他ならない。確かに、ハラスメントに該当するかしないかの最終的な判断はもちろん司法の場にゆだねられることは十分にわかっていますが、素案とは言え、このような内容のものを公開すること自体に違和感を感じずにはいられないのです。

アウトだ、セーフだと大騒ぎするよりも大切なこと

ハラスメント行為にあたる、あたらないをきちんと判断して行動できるように教育したり、職場からハラスメント行為を排除をする取組をするということは、ハラスメント防止・抑止には必要なことです。ですが、忘れないで頂きたいのは、ハラスメントとは無縁の職場、心から「この職場こそが私の働く場所」と思えるような心理的安全性の高い職場を作ることが最も大切なことなのです。

その為に必要なこと…。それは、雇用管理区分によらず、経験によらず、役職によらず、人と人がきちんと認め合えている職場であるかどうかがカギを握っています。

皆様の職場はいかがでしょうか?

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